伝説のIBM PC/JX博物館
商業的には成功を収められなかったJXではあったが、僕らには多くの楽しみを与えてくれた。あのPC98しか知らなかったとしたら、IBM PCの世界を知ることはなかったであろう。今にして思えば、JXは斬新なPCだった。

その斬新さは、英語モードカートリッジ(写真下)を差し込むことで、IBM PC+CGA互換機になるバイリンガルコンセプト、拡張表示モードカートリッジ(写真上)は、IBM Multi Station 5550互換の720×512ドットのテキストモードを可能とした世界初のデュアルシンクモニター、2画面分のVRAMによるスーパーインポーズ、3.5" 720KBのフロッピーディスクドライブの採用、赤外線通信によるコードレスキーボードなど、優れた設計ではあった。その後、IBM PC/JXでIBM-PCのソフトが動く事が理解されるにつれ、TMCNETに代表される草の根BBSのホストなど、隠れた場所で使われ続けたのだ。

悲運のPCとは言え、JXを楽しむための書物が発売された。パソコンゲームブックの「IBM JXエンターテイナ」(マグローヒル ブック)やIBM JXペーパーソフトの楽しみ方」(学研)は、そんなJX向けの数少ない本のひとつであった。

楽しみな雑誌のひとつに「パソコンワールド」(コンピュータワールド・ジャパン)があった。残念ながら1989年4月号(写真右)で廃刊となってしまった。一世を風靡した「The BASIC」や「PC WAVE」しかり。まだあった、IBM PC Userマガジン(マイクロマウス刊)もすでにない。

パソコンワールド誌には、おおくの先進的なユーザーが寄稿していた。「帝塚山マイコンクラブ」の岩本健一、竹村譲の両氏もそんな一人だった。1986年10月号には、両氏の「IBM JXの改造、バイリンガルPCの製作」という、10ページもの技術情報を公開している。

好評であった「JXの改造」に気を良くして、1986年11月号では、この改造機を使用した「使えるUSAソフトウェア・オンパレード」が同じく帝塚山マイコンクラブの竹村譲・萩原茂樹両氏によって発表された。

IBMから、いろんなグッズをもらったりしたなあ!鉛筆やボールペンもあったが、極めつけはアタッシュケースであった。


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